幸せとは、いれたてのコーヒーの香り2016年03月26日

ブレンド・コーヒー

会社の帰りに立ち寄った本屋と同じフロア、というより本屋に併設されてカフェがある。
Book Cafe だ。
中をのぞいてみると空席があるようなので、入ってみることにした。
ブレンド・コーヒーを注文する。
ドリッパーやマシンを使っているお店が多い中、ここではサイフォンで入れているようだ。
カバンの中から Kobo を取り出して読書を始める。
本来は隣の本屋で買った本をすぐに読みたい人が利用するのだろう。
しばらくすると、ウェイトレスがコーヒーが入ったフラスコを運んできた。
カップに注がれるのを待って、一口。
うまい。
コーヒーの味などわからないと思っていたが、ほろ苦さの中にまろやかな酸味と微かな甘味が感じられる。
考えてみれば、去年までは毎朝 7 時に家を出て、帰りはいつも 11 時半過ぎで、会社の帰りにこんな風にのんびりとしたことなどなかった。
仕事が変わって経済的な余裕は少なくなったけれど、ほかにゆとりができたのかもしれない。
さらにもう一口。
静かにコーヒーが香った。

幸せとは、改札越しに見つけた妻と買物袋2016年02月20日

先日読んだ本「ショート・サーキット」に影響されたせいか、小さな幸せ をテーマに追加してみようと思う。
それは、いつも身近にあったはずなのに気が付かなかったものであり (青い鳥)、近くを探してなければ、ほかのどこを探してもないもの (オズの魔法使い) らしい。
枕草子 の 清少納言 や 徒然草 の 吉田兼好 のようになれるはずもないが、マネすることくらいならできるだろう。
「幸せとは」は、スヌーピーやチャーリー・ブラウンで有名な「ピーナッツ」(チャールズ・M・シュルツ) の "Happiness is a ..." シリーズにちなんだものだ。

買物袋

妻から「駅まで迎えに来てほしい」というメールがあった。
それほど遅い時間ではないが、「不審者がいるんだよ」と書いてあった。
市から配信された安心・安全メールからの情報らしい。
襲われるような歳でもないと思うのだが、迎えに行かないわけにはいかない。
駅でしばらく待っていると、改札の向こうに見覚えのある手提げカバンを見つけた。
「お食事会」に出かけた妻が帰ってきたようだ。
「ただいまぁ」というなり、手提げカバンを押し付けてきた。
持てと言うのだ。
不本意ながらも、いつものように受け取ってしまう。
「こっちは、おみやげ」
と言うもう一方の手には何やら別の袋を下げている。
「おいしいって有名な店で買ったんだから。」
お菓子のようだ。
「バウムクーヘンだよ。好きって言ってたでしょ。」
そんなこと言った覚えはないと反論する暇もないうちに、買い物自慢が始まる。
半ばあきれていると、
「帰ったら、食べようっと。」
と言い出す。
やっぱり自分が食べたいのだ。
帰り道も続く他愛もない話。
「何か言った?」
と不意を突かれる。
答えの代わりに、そっと妻の手をとった。