感想 (61) 深山に棲む声2017年03月12日

これまで読んだ本の感想 (その 61)。

「おすすめ」の中で表紙の絵が気になったので読んでみようと思った。

o 深山に棲む声 - 森谷明子

昔話の中の人、現実の人間、それぞれの物語が、いずれも「深山」という立ち入ることを禁じられた山を舞台に描かれている。
一つの話が 4 つの方向 (クニ、東西南北) から描かれた前半部分の 4 編と、それに続く 2 編で構成される。
前半は、昔話的でおどろおどろしい感じもするし、エピソードが断片的に語られ、時系列的にも追いきれない。
後半になると、それまでの断片がつながり、イヒカ と イオエ、昔話の世界で離ればなれになった二人が、現実の世界でようやくめぐり逢える。
なんとも味わい深い優しい感じの物語に仕上がっている。
構成がよく練られ、まさに編み込まれた感じがするファンタジーだった。